vol20s.jpg

Vol.20

真備に根差し、真備の復興に貢献できる福祉施設をめざしています

田邊 傑さん (33歳) 悠楽デイサービスセンター 相談員

2019年10月10日(木)

危機一髪のところで避難を完了。ハザードマップのおかげで助かった

  悠楽では、6日の22時の時点で特別養護老人ホームの入居者とショートステイ利用者を高台にある後楽へ避難させることが決まりました。私は岡山市に自宅があり、そこから車で駆けつけて到着したのは23時過ぎでした。24時前には利用者さん全員の避難が完了し、少し落ち着いたころ、悠楽の建物に水がはいってきました。最初はパソコンを机の上にあげておこうかと思う程度でしたが、その内にどんどん水が増えて、施設を囲うように水が流れ込んできました。職員たちは車を使って逃げることが困難となり、施設内に待機することにしました。悠楽の建物は平屋建てで、一番高い屋上が5mぐらいです。施設長が事前にハザードマップを確認していて、この辺りは4.8mまで浸水する可能性があることをしっていたので、屋上へ避難し、最終的には自衛隊と消防の方に救助していただくことになりました。

 施設内には中2階の空間があり、災害用の物資を備蓄していたので、ハザードマップの情報を知らなければ、そこに避難し、何人かは亡くなっていたかもしれません。

「みんなに会いたい」の声。いち早くデイサービスを再開

 水が引いた後、利用者さんの安否確認をする中で、「みんなに会いたい」、「早く真備に帰りたい」という声をたくさん聴きました。そこで、お茶会のようなものでも行えないかと企画していたところ、総社市が管轄するクリーンセンターの下にある交流館の入浴施設を利用させてもらえることになり、9月11日に簡易のデイサービスを再開することができました。カーシェアリング協会さんから借りた車で、遠くは岡山市や西阿知のほうまで利用者さんを迎えに行きました。みなさん再会されると、当日どうだったかという話をされて盛り上がり、とても喜んでいただきました。その後、施設を優先的に修繕していただき、1月19日に施設全体を再開することができました。しかし、県外へ引っ越されて利用できなくなった方もいますし、中には急な環境の変化で、体調を崩され、通えなくなったり、亡くなったりする方もいらっしゃいます。

 高齢の方は、馴染みのある場所に戻りたいという想いが強く、真備に帰るからデイサービスに通いたいと連絡をくれる方がいます。私たちは、できるだけ真備に帰ってきても生活に苦労しないよう受け入れ体制を整えていきたいと思っています。

地域に根差し、地域に貢献できる魅力ある福祉施設に

災害前から地域に根差した、開かれた福祉施設をめざして取り組んでいましたが、災害後はさらにその思いが強くなりました。相談員で「地域いきいきチーム」を結成し、地域の方、真備の復興に関ってくださる方と協力してマルシェを開催しました。そして、施設の一部をカフェコーナーにして、地域の方が気軽に立ち寄って、お話しできるような空間をつくっています。

 また防災面では、これまでの防災訓練ではレベル3が発令された避難を開始することにしていましたが、川の水位を確認して逃げることに変更し、より安全に安心して避難できるよう訓練しています。

 気軽に悠楽に立ち寄っていただけると嬉しいです。

 

(聞き手:矢吹・石塚)