お互いさまセンタースタッフ
土師具記さん(箭田)、篠原範之さん(箭田)、江木有三さん(矢掛)
Q:お互いさまセンターで活動するようになったきっかけは何ですか?
・箭田で自営業を営んでいたのですが、被災して仕事が休業になってしまい何かしないとと思っていたときに、「手伝ってもらえませんか」と声をかけてもらいました。
・災害ボランティアセンターで軽トラの貸し出し運転手をしていました。被災地に車を貸し出しているカーシェアリング協会さんを通じて、お互いさまセンターが運転手さんを探していることを知りました。
Q::被災された方々の様子はいかがですか?
・みなし仮設住宅にお住いの方には情報が届きにくく、物資を受け取ることも難しいと感じていました。一方、建設型仮設住宅にお住いの方は、交通が不便で買い物など外出するのが難しいです。それぞれに困難があり、被災者によってかなり温度差があると感じています。
・なかなか「助けてほしい」と声をあげれない人がいます。相談できるときに相談できるところで、声をだしていかないと先に進めないと思います。「助けて」と言えたら、きっと少しは楽になるし、助かると思います。
Q:「助けて」と言えない人に、言ってもいいんだよと伝えるにはどうしたらいいでしょうか?
・移動支援をしていて、利用者さんが心を開いてくださるのは「僕も真備の住民です」と言ったときです。初めて利用されるときは何か構えていらっしゃり何も話してくれないのですが、「あなたも被災したの」と聞かれて「そうですよ」と答えたら、仲間なんだぁという感じで困っていることも教えてくれるようになります。
Q:お互いさまセンターは被災者を支援する組織ですが、利用されている方から逆に元気をもらうことはありますか?
・ありますね。利用者さんが話されたことと同じことで自分が悩んでいる場合もあり、その方に対処方法を教えてあげないといけないと思って調べる気になり、自分のことも感がられるようになったり。また、中にはとても元気な人がいて「なるようにしかならんわ!」とおっしゃるのを聞いて、僕も頑張ろうと思うことがあります。
・利用者さんが病院に通われるのを月に1回送迎していたのですが、新居ができて送迎の必要がなくなった時に「一歩前に進まれたんだなぁ」と感じ、自分のことのようにうれしくなりました。そして「長い間お世話になりました」という一言が本当にうれしかったです。
Q:お互いさまセンターは、住民が住民を支え合う活動です。このような活動は他の被災地でも必要だと思いますか?
・あったほうがいいと思います。小さな活動ですが、一人でも多くの人が心に余裕を持てる状況に近づくことができると思います。
・災害が起こると、昨日まで出来ていたことができなくなることがある。例えば車が水に浸かって通院できないなど。それは誰にでも起こること。だからお互いにできることで支え合うこと、それが共助だと思います。お互いさまの精神は僕らも利用者さんも持っていないといけないものだと思います。
・行政の支援には限りがあるし、期限がある。その支援がなくなった時に困るのは住民です。だから住民で、持続可能な支え合いの仕組みをつくりあげていかないといけないのだと思います。
インタビューを終えて
お互いさまセンターを訪問すると、いつもフワっとした空気が流れています。「となりのおばちゃんを車に乗せている感じ。支援とか考えてことはない」とおっしゃる言葉どおり、気負ったものがなく、自然な雰囲気が漂っています。代表の多田さんは「スタッフさんは、それぞれに個性があり、得意なこと、苦手なことをお互いに補完しあって、しんどい人のところへ『いい風』を届けてくださっています」と言われました。
お互いさまセンターは、被災された方々の移動支援を通じて、真備だけでなく倉敷およびその周辺の広い地域に「やさしい風」を届けているようです。
(2019年8月29日 聴き手:石塚裕子)