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Vol.17

真備のみんなとコミュニティを立ち上げていこうと覚悟を決めた

藤田 敏郎さん(75歳)箭田

避難先:倉敷市福田

2019年4月11日(木)

防災組織から声かけがあり、早めに避難した

 6日は夜23時頃に家を出て、真備運動公園の体育館に家族4人で避難しました。避難先に到着したのが23時35分。ちょうど総社の爆破事故があり、覚えています。21時半の時点では、避難する気はありませんでした。友人には「少し気をつけろよ。避難の準備をして逃げたほうがいいよ」とメールを送ったことを覚えています。

 私は箭田のまちづくり活動で、スクラム班に所属し、防災などいろんなことにかかわっていたので、少し意識していました。 箭田地区では、みんなで考えてオレンジラインに取り組んでいました。ゆっくりと住民の気持ちを防災に向けていこうと。なかなか前に進まず歯がゆかったですが、一歩一歩積み上げてきていた。 

 近所の防災組織の連絡網で「逃げてください」と廻ってきた。早めに率先して避難したほうがよいだろうと思い、避難しました。 あの声かけがなかったら、避難するのが遅れていたと思います。

飼い犬が奇跡的に助かり、癒されています

 我が家にはコロンという10歳になる柴犬を飼っています。避難する時、孫たちは一緒に連れていくと言ったのですが、私は避難先で迷惑になるから置いていけと反対し、家の2階に首輪をして紐つないで置いていくことになりました。その時はすぐに戻れると思っていたのです。孫たちは「どがんなったじゃろうか」と心配して沈んでいました。

 8日の夕方に、真備を離れて香川にいる大学生の孫がsnsで、コロンの写真が掲載されていることを知り、救助されていることがわかりました。我が家は2階の鴨居まで浸かりました。コロンは少し開けていた2階の窓から外に出たようで、小田川を渡った先で犬好きの方が救助してくださり感謝しています。そして、奇跡は2度起こりました。

 水害から2ケ月経った頃、突然、コロンは立てなくなり、病院に連れて行きましたが、原因はわからず、長くはないでしょうと獣医から言われました。しかし、約2週間後、立ち上がり今は元気になっています。きっと水害の時に、何か体に悪いものを飲んでしまったからではないかと思っています。私は元々、犬は苦手でしたが、犬がこんなに癒しになるとは思ってもいませんでした。

 

もう一度コミュニティを立ち上げていこうと思います

 今は、みなし仮設にいますが、週4日くらいは真備に来ています。頭の片隅では、どうやって安心して帰れるようするかと常に考えています。同じ敷地で息子家族と住んでいましたが、別の敷地に建ててリスク分散をしようかと検討しています。

 真備の人たちは、逃げ遅れて、長い時間水に浸かって怖い思いをした人、避難した後、家が水没したのをみてショックを受けた人、誰もがその時を忘れられません。みんな「怖くて帰れん」と言います。私の家内も同じです。家を倒すとき急に泣き出して、なだめようがなかった。でも私は覚悟を決めました。つながりができている、ここでもう一度コミュニティを立ち上げていこうと思います。

(聞き手:矢吹、石塚)