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Vol.13

水害の経験を活かし、精神的な安心感をつくる.住民が自ら考え、行動して魅力ある真備に

諏訪 愿一さん (74歳) 有井                    

2019年3月14日(木)

過去の教訓を生かせなかった

  高梁川の堤防がまだ未整備だった明治26年の水害では、今よりも南のエリアに住んでいる人が多く、有井だけで13人の方が亡くなったと、荒神社にある碑には書いてあります。それを教訓に川上の土地の高いところへ住むようになりました。私の実家も川上の方にあり、そこに住み続けていたら、今回の水害でも被害にあうことはなかった。山手のほうは古い集落なので道が狭く、車の利用も不便で、25年前に、この地に家を建てました。過去の教訓が語り継がれておらず、私のように利便性を重視したり、町外から移り住んだりした方々が、まさか浸水するとは思っておらず、逃げ遅れなどもありました。私も逃げ遅れて、自衛隊の船に助けられ、二万へ避難することとなり、反省ばかりです。

 

日頃のおつきあいから、精神的な安心感をつくっていきたい

実は、昨年1年間、防災の講習を倉敷市で受講していました。自主防災組織も書類をつくり提出していましたが、まったく役に立ちませんでした。お恥ずかしいかぎりです。

 防災、防災とだけ言っても住民の意識は高まりません。日頃から、おつきあいがないと、一緒に逃げましょうと声をかけても高齢者は「何とか自分で頑張りますから」と遠慮されてしまいます。何かあったら「あそこのおばあちゃん大丈夫かな」、「あの人が声をかけてくれたから」という感覚が大事なんだと思います。誰もが遠慮しないで「一緒に連れて逃げて」と言えるコミュニティが大事だと思います。

 災害は再び起こると思います。堤防が強化されても、想定以上の雨が降ったらどうなるのか、天災が起きたらどうなるのかと不安は尽きません。例えば、避難先として、水害では低い土地の人は高い土地の人と提携しておく、土砂災害では、山裾に住む人が、平地の人と提携しておく、そういう約束事を地域で話し合っておくことが、命が助かる防災になると思います。雨降って地固まるではないですが、そのような話し合いからスタートしたいと思います。何が起きても、命だけはみんなで助け合えるという精神的な安心感をつくることが、安全・安心なまちづくりではないかと思います。

 

10年先のまちづくりを魅力ある暮らしを提案する復興を

 復興にあたっては、元に戻すだけでなく、よりよい町にしていきたいと思います。例えば、高台で休耕地となっている田畑を活用して、菜園付き住宅を提供してはどうかと提案しています。高台の農地は小規模で、害獣も増え農業をしていくには難しい。一方、一般住民が家庭菜園として本格的な農地を手に入れたいと思っても、不可能な規則になっています。そこで少し規制を緩和して、休耕地の活用と高台への住宅誘導、菜園のある住まいという新しい暮らし方に魅力を感じて都市住民が移り住んできてくれたら一石三鳥ではないかと思っています。

 復興にあたっては、住民自身が考え、それを行政が支援することが大事。行政主導、行政任せではなく、住民自身が考えることは大切。住民が考えたことを行政が支援するという立場の切り替えが必要だと感じています。まずは、真備町の住民が今後を考える会を考える会を立ち上げないといけないと思います。復興は最初で最後のチャンスです。   

 

(聞き手:石塚)