Vol.10
川と共に暮らす、安心して住めるまちに子どもの環境を早く戻してやりたい
山口 敦志さん (75歳) 箭田
箭田まちづくり推進協議会会長
避難先:総社
2019年2月14日(木)
幼い孫を守るために避難
6日の夜、会合を終え、倉敷から真備に帰る前に家に電話すると、「水がでそうで、大変なことになっている」と聞きびっくりしました。帰宅直後に防災無線の緊急放送などがたくさん鳴りはじめ、「これはただ事ではない」とようやく思いました。
幼い孫が同居していて、まず、この子らを助けることが第一優先だと思い倉敷のほうへ避難をはじめました。ちょうど総社の工場爆発があった時には知人宅のところに到着していました。あとで聞くと川辺橋も渡れなくなっていたと聞いたので、間一髪のところで避難できたようです。もし孫がいなかったら、しばらく様子をみようと、まだ家にいたと思います。
オレンジライン、避難訓練にも取り組んでいたが
箭田のまちづくり推進協議会には、防災に関する取り組みをする班を設けています。数年前から、ハザードマップを読み解いて、箭田地区にも相当の浸水があることを確認していました。浸水する高さをみなさんに伝えるために“オレンジライン”の表示を小学校や中学校、井原鉄道の高架橋などに表示しています。
毎年、小学校で避難訓練を実施してきましたが、このようなことになり残念です。多くの町内会に自主防災組織を設け、高齢者や障害者、子どもなどへの配慮は、これからの大きな課題です。
私たちができることはやる川と共に暮らすまちづくりを
やはり安心して住めるまちにすることが大前提。治水のこと、避難のこと、防災計画など安全なまちを創っていくために我々に何ができるのか考えています。治水においても河川敷の維持管理など、我々にできることはやろうと思っています。河川敷を利用しながら、川と親しみながら維持管理していくことは、大きな意味で防災につながると思っています。まずは川の歴史を知ることからはじめ、行政と一緒になって、川と共に暮らすまちづくりを考えていきたいです。
ピンチをチャンスに未来を託す子どもの環境を
思いつきですが、大きな災害を経験した今、ピンチをチャンスに変えて、観光まちづくりに取り組むなど、真備の良さをみなさんに知ってもらうような取り組みができないかと思っています。7つの地区の魅力を線でつなぎ、真備を1日かけて楽しく過ごせるようなルートがあるといいなと思います。各地区が協力して一緒に取り組んでいけるといいなと思っています。
今回の水害で、子どもたちが本当に苦労しています。卒業式は自分の学校で迎えられないし、支援学校の子ども達もバラバラにわかれて不自由な生活を送っています。誰にとっても貴重な一日、一時間、一年ですが、特に子どもたちとっては大切な時間です。未来を託す子どもの学校だけでも早くなんとか戻せないかと切実に思っています。
(聞き手:矢吹、石塚)